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次の瞬間には、天使は死神の幼女を通り過ぎていた。
そして、彼女が通ったであろう道は焦げ目が付いていて、移動した軌跡が地面に描かれていた。
「……………ハ?」
死神は間の抜けた声を出して、何が起きたかが分からないでいた。
「…えと、うん?……これは、マズイってやつか?」
死神の幼女は少し焦ったように顔を引き攣らせて、天使の少女は
「そこの死神へ、これ以上反抗しないのであればこの場は見逃そう。
だが、まだ戦う気があるのであれば………殺す」
と再び弓矢に持ち替えると、矢を弦に掛け、それを引いた。
死神はそれをギョッと見て顔が青ざめた。
「あ、あアンタなんかに言われずともっ。……引き際くらいは…分かってる、つもりよ」
死神の幼女はそう言うと鎌を手の中から消して、身を翻して夜の町に消えて行った。
引き際に
「次こそは狩ったるからなぁ!覚えてやがれぇ!」
と盛大な雑魚キャラ発言をして逃げて行った。
ふう、終わった……のか。
俺は尻餅を着くように地面に座り込んで溜め息を一つ吐いた。
何だったんだ今のは?
鎌を持った幼女に殺され掛けたと思ったら、いきなり天使みたいな少女に守られて。
しかも何か目茶苦茶強いし、二人とも。
「はぁぁぁ……。疲れた」
俺はそのまま地面に仰向けになって寝転がり、真ん丸に光る月を見上げた。
………何でこうなったし。
そうやって満月を見上げていると、視界の端から銀髪の天使が顔をのぞかせて
「……ここで寝ては体に障ります。
…家に帰ってからにしましょう」
と言って来たのでひとまず家に帰る事にした。
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