おそらく俺は嘘つき狼

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都会から数百メートルほど離れた場所に位地する我が家。 そこに今帰って来た。 最早何をしに夜の散歩に家を出たのか分からないで。 これからは夜の外出は控えようかな? 「………」 しかも、何か余計なのまで拾って来てしまった。 この銀髪天使の少女は、さっきから我が家を見て立ち止まってる。 「…どうかしたか?」 「……いえ。ただ、マスターのご自宅を覚えようと、奮闘中です。ただ、それだけです」 少女に「そうかい」と言うと俺は家の中に入った。 「おじゃまします…」 少女はペコッと頭を下げてから家の中に入って来た。 「って、玄関では靴を脱ぐ!」 「?それは……常識なのですか?」 「ここ日本。日本では家の中に入る時は、ちゃんと靴脱ぐんだよ!」 「そうなのですか。……わかりました」 そう言うと少女は床に座り込んでから、靴を両手で脱ぎ始めた。 可愛いなその脱ぎ方。 「…………なにか…また、粗相をしてしまいましたか?」 「いや、ただ単に……」 そこで俺は言葉を切った。 ここで俺が普通に可愛いって言っても、何も反応がなさそうだからな。 だから俺は 「…天使っぽいな」 と、嘘をついた。 「……こちらの世界での天使は、このような仕草をするのが、通なのですか?」 「ああそうだ」 俺は心の中で笑いながら彼女を居間へ誘導した。 彼女は部屋の中を見渡すと、テレビをジッと見詰めた。
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