俺の天使と下撲が修羅場すぎる

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強く踏み付けられて頭が割れそうだ。 何だよこの野郎、いつの間にか俺を倒したのさ? ぜんっぜん見えなかったぜ?えぇい、ヒコ猫の兄は化物かっ!? 「ふん…見えなかった…か?それは失礼したな」 余裕ぶった面しやがって、ムカつくな。ドヤァってか、今流行りのドヤ顔か? 「…愚者よ、貴様はここに何を為さんとして赴いた?」 「カッコイ~ねぇ、お兄さん(笑)古臭い言い回ししたからかな、かな?(笑)」 俺は踏まれた事への不満を、馬鹿にする事で精一杯抵抗してみせた。 踏まれてるのに聞かれたことをハイハイと、俺が言うと思ったか? 「…問われても応えぬか……ふん、貴様の家の敷居の低さを物語るな」 「悪いけど一般庶民なんでね。 オラの娘さもってかれたから、一揆さ起こしただぁ」 「…………馬鹿に…しているつもりか?」 ビンゴ、挑発にかかりやがって、馬鹿め。 怒ってんのが足からだだ漏れだぜ?踏まれてるからな! 樹は俺の上から退くと、不敵な笑みを浮かべる。 俺は不快な土踏まずの感触から脱すると、すぐに立ち上がり奴を睨みつけた。 「氷心樹でオーケー?俺ん家のステラをさらってったの、お前だよな。 とんだ悪代官…いや、悪教主ってか」 本殿の中へ踏み入れ迂回をしながらステラへと近付くが、一定距離を近付くと樹が気迫で俺を制した。 「貴様がアレを取り返しに来たのは周知の事。ならばこちらも、それなりの感激を…と思うてな」 「てふ?」 「誰が歴史的仮名遣いをしたか」 俺が樹と一発触発の会話をしているうちに、リムも反対側に回る。 このリムの立ち回りはナイスと言わざるを得ない。 しかし問題点がやはりヒコにゃん。 樹の発する気迫に気圧されている。 それを見た樹は無表情のまま鼻を鳴らす。
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