俺の天使と下撲が修羅場すぎる

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「ところでお兄さん。一応聞いておきたいんだけど」 目をヒコにゃんから外し再びこちらに向ける。 少し機嫌が悪そうだった。当たり前か、馬鹿にされてたんだから。サーセンww 「…なんだ?」 「何であんたはステラを誘拐なんかしたんだ。まさかロリコンだったりする?」 「ふっ……下衆な考えを。……いいだろう、ここに踏み込んで来た褒美だ。聞かせてやろう」 「あじゅじゅしたぁ」 瞳を閉じ、うっすらと瞼を開ける。 見下したような視線に、俺はイラッ☆と。 リムは興味なしと。 ヒコにゃんだけビクッとしていた。 王者の微笑と言うか、まるで確立した勝利を掲げて、敗れ行く者を見下すような、とにかくイラッとくる目。 そして極めつけは含み笑いと来たもんだ。 ありゃあ厨二病L4あたりの笑い方だ。絶対前世は吸血鬼か暗黒騎士だとか言っちゃうような、痛いタイプだよ。 「…我は今宵、そこな他教の産物と交わり、契り。そして新たな第三の力を得る。 元来我らの教祖は自然の力を取り入れ、その力を使用した者。それに習い続けてはいたが、次第にその儀式は行われなくなった。 だが、この伝承を再び掘り返してくれたのは、皮肉にも我が愚妹。悪魔の力を取り入れに行き、逆に使わされているのは何とも情けないがな。 だがおかげで我もその方法を知り、さらなる力を手に入れるためこの化物を捕獲した。 この力さえ取り入れれば、人でも化物でもない。新たな存在として、この大地に君臨することができるのだ…!」 「(#°д°)ハァ?」 奴の俺らにもわかりやすく省略化した熱演に対する、俺の反応を聞いた樹は目を細めて睨みつけてくる。 俺はそんな野郎に向かってこう言ってやった。 「悪いがステラは化物じゃねえ。俺の天使だ。」 化物と言う一言が、許せなかった。 故に俺の口は回りに回りまくった。
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