おそらく俺は嘘つき狼

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『緊急で呼び出されるなんて……なんの用でしょうか』 私は目の前で真剣な表情をする上司へ、そう言葉を投げ掛けました 上司はそのまま表情を変えずに私を見詰めて 『あんたに、特別任務を与えるよ』 凛とした瞳で私にそう言いました。 『任務……ですか?それは何という花ですか?』 『…花じゃないっつの、仕事よ。 内容は、死神に狙われている少年を助けなさい…だって』 『死神に?』私は疑問に思いました。 基本、死神とは罪人を迎えにくる(または殺しにくる)役目を持ち、それ以外で人間と接触する事はまずありえません だから私はその仕事の意義が分かりませんでした そんな私に、上司は言いました 『天使ならつべこべ言わず、人間を救いなさいってーの』 それを言った上司の顔はいつもの穏やかだが、どこか凛としている顔でした。 そして私は言われるままに天界から降りて、下界に行きました そしたら……すでにあなたが死神に襲われていたので、慌てて助けたというワケです 少女は言い終わると一息ついた。 「はぁ…。結構ギリギリだったんだからな」 「その件については謝ります」 少女はゴツンと頭をテーブルにぶつけながら謝った。 「ん~………まあ、大体は分かったわ。お前が何をしたいのか」 コイツは俺を助けるために天界くんだりからご来場くださったんだ。 だが助けるだけならもう帰ってもいいんじゃないか? だって任務の内容は死神に狙われている俺を助けろ、だった。 さっき、あの死神の幼女を退けてくれた。 しかも天使が。 そうと分かれば、あんな初陣の死神なんかはもう狙わないんじゃ…… 『次こそは狩ったるからなぁ!』 ………まだ狙われてんのか?
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