438人が本棚に入れています
本棚に追加
「だから、閻魔大王様が死人の目の前で遊んでていいのかって」
若干イライラして声を荒げながら言うのだが、閻魔は相変わらずニヤニヤしながらリムの体を弄っている。
コイツは真性のレズなんじゃないか、しかも死人専門の…。
死人は客人だろうに、それをほったらかしで幼女弄りときた。
これは怒ってもいいよな?
「~♪やっぱり女の子の肌は柔らかいなぁ♪」
「………」
「ほっぺモチモチ~♪」
「………」
「おぉ、そんな怖い顔しないでくださぃ。えんまちゃんビックリしちゃいますよぉ」
こっちは放置されててかなりキレてんですよ。しかも聞いてるのに口は遅いし。
「あのよ、あんた」
「えんまちゃん」
「あんたにはイロイロと聞きたいんだよ」
「えんまちゃんだよぉ↑」
「あんたのところに来たんだからさ、俺は死んだんだよな?」
「えんまちゃん↓」
「ってことは…その…」
「えんまちゃんって言ってくださぃぃ!」
いきなり大声を上げる閻魔。それに少々驚く。
閻魔は頬をぷくーっとやる気なさげに膨らますと、俺の腹をポカポカと叩いた。
「も~、私がぁ、えんまちゃんって言ったらぁ、えんまちゃんって言うのが通ですよぉ?」
いや知らんがな。
「それにぃ、そんな態度だとぉ~?」
「……態度だと?」
「教えませ~ん♪」
お気楽な笑い声を出すこの子供に俺の堪忍袋は爆裂した。
「オイ閻魔この野郎!人が聞いてんだから少しは黙って答えろよ!!こっちはな、死に切れねぇ死に方してんだ……よ…」
いつものように舌を長々と巡らそうとした瞬間から、閻魔は黙りだし、次の瞬間には
「…ここでは私が法(ルール)よ。あなたがどこの誰であろうと、どんな身分でどんな善良を尽くしていようとも、所詮は一人の人間。
死に切れない死に方をしたからって、優先的に言葉を交わしてもらえるとは思わないで」
完全に目が……座っていた。表情がなかった。
俺が初めて、怖くて視線を泳がせたかった瞬間でもある。
そもそも視線を外せるハズがない。恐怖で動けなかった。
見た目はただの少女なのに、目の奥に何か異業のモノを潜めているかのような豹変ぶりだった。
最初のコメントを投稿しよう!