けだるい閻魔様は嫌いですか?

4/10
前へ
/350ページ
次へ
「だから、閻魔大王様が死人の目の前で遊んでていいのかって」 若干イライラして声を荒げながら言うのだが、閻魔は相変わらずニヤニヤしながらリムの体を弄っている。 コイツは真性のレズなんじゃないか、しかも死人専門の…。 死人は客人だろうに、それをほったらかしで幼女弄りときた。 これは怒ってもいいよな? 「~♪やっぱり女の子の肌は柔らかいなぁ♪」 「………」 「ほっぺモチモチ~♪」 「………」 「おぉ、そんな怖い顔しないでくださぃ。えんまちゃんビックリしちゃいますよぉ」 こっちは放置されててかなりキレてんですよ。しかも聞いてるのに口は遅いし。 「あのよ、あんた」 「えんまちゃん」 「あんたにはイロイロと聞きたいんだよ」 「えんまちゃんだよぉ↑」 「あんたのところに来たんだからさ、俺は死んだんだよな?」 「えんまちゃん↓」 「ってことは…その…」 「えんまちゃんって言ってくださぃぃ!」 いきなり大声を上げる閻魔。それに少々驚く。 閻魔は頬をぷくーっとやる気なさげに膨らますと、俺の腹をポカポカと叩いた。 「も~、私がぁ、えんまちゃんって言ったらぁ、えんまちゃんって言うのが通ですよぉ?」 いや知らんがな。 「それにぃ、そんな態度だとぉ~?」 「……態度だと?」 「教えませ~ん♪」 お気楽な笑い声を出すこの子供に俺の堪忍袋は爆裂した。 「オイ閻魔この野郎!人が聞いてんだから少しは黙って答えろよ!!こっちはな、死に切れねぇ死に方してんだ……よ…」 いつものように舌を長々と巡らそうとした瞬間から、閻魔は黙りだし、次の瞬間には 「…ここでは私が法(ルール)よ。あなたがどこの誰であろうと、どんな身分でどんな善良を尽くしていようとも、所詮は一人の人間。 死に切れない死に方をしたからって、優先的に言葉を交わしてもらえるとは思わないで」 完全に目が……座っていた。表情がなかった。 俺が初めて、怖くて視線を泳がせたかった瞬間でもある。 そもそも視線を外せるハズがない。恐怖で動けなかった。 見た目はただの少女なのに、目の奥に何か異業のモノを潜めているかのような豹変ぶりだった。
/350ページ

最初のコメントを投稿しよう!

438人が本棚に入れています
本棚に追加