おそらく俺は嘘つき狼

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「な、なな何でアンタ、避けれるのよ!?マニュアルにはそんな仕様書いてないわよ?!」 幼女は何やらうるさく参考書みたいな本を読みはじめた。 「え~と、え…って…。 マニュアル第57条。実戦ではマニュアル通りにはなりえない場合がある…………」 そいつはマニュアルと呼ばれた本をバサッと落とすと、額に血管を浮かべた。 「…………んなところまで、読めるかぁぁぁぁぁっ!!」 そして鎌を持ち直し、空高く跳び上がった。 「このっ……逆ギレするなよ!」 俺は出来るだけ離れようと、その場から逃げ出した。 つうか足痛ぇ……。全力で走れないとか、今この状況からすると、回復&ゲットなしでポケモンをクリアするのに等しいぞ。ドMプレイかちくしょう。 しかも転んじまった。死ぬんじゃないかこれ? ………いや、マジ…で… 「その首っ、ちょうだいいたぁぁぁぁす!!」 と、どこぞの武将みたいに、大きく鎌を振り上げると鈍く光るその凶器を俺に向けて……投げてきた。 つうか速度遅っ! でも、今の俺を仕留めるには調度いいくらいか。 ………そっか、俺……死ぬんだな。 ラブコメだの何だのの展開にもならないまま死ぬんだな……。 好きな女の子に告白すらしてないのに………つうかまだ居ないし…。 俺は目を閉じて諦めに似た覚悟を決めた。 「しっぬぇぇぇぇぇッ!!!」 ……………あり? 何だ?痛みがない…。 …つうか、死んだのか? なんの感覚もなかったぞ? 俺は恐る恐る、閉じられた瞳を開けた。 そこには 満月を背中に背負った様に、俺を見下ろした 白い翼を持った、天使のような少女が立っていた。 「……ターゲット発見。任務を………開始します」
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