おそらく俺は嘘つき狼

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「そうか…。じ、じゃあよ。とりあえずこの場をどうにかしてくれ」 俺は少女にそう言葉を投げかけた。 そして少女は「Yes、Master」と言って、その純白の翼を広げた。 ……綺麗だ。思わず見取れてしまうその美しさ。 まるで本物の女神が舞い降りたような、そんな感覚すら覚える。 「モード、スカイ及びにアーチャー。対象の死神を……駆逐します」 少女はそう言って空中に飛び上がる。 一定の高さまで上がると体を一回転させてその場に留まった。 そして、左手を前に出した直後、左手に光が集まり出して弓の形になった。 さらに右手を少し後ろに出すと、その手には光の矢が。 まるでマンガに出て来るような天使の弓。 その姿がさらに彼女を神格化させる。 「……アンタ、まさか天使!?ウッソ、ありえない…! 何で天使が、そんな罪人を守ったりするのよ!?おかしいじゃない!!」 死神と呼ばれた幼女は焦りを表情に出して、この天使の行動がおかしいと言い出した。 「MAX5中……レベル1。周辺家屋への損害を最小限に抑えて…………シュートッ」 少女は矢を弦に掛けて右腕引いた。 そして、最大まで引いて目標を定めるとそれを持つ指を離し、高速の矢を放った。 「っ!クソぉ!」 死神の幼女は矢を防ぐために鎌を盾代わりにした。 ドォォォン… と、矢が当たった音とは思えない音を響かせて、天使の放った矢は死神の鎌へと命中した。
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