薄幸の美少女

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ハリウッド映画でシリーズ物の主役が決まりその二作目が世界中で放映されている中、ある事件が起こった。 それは久々の日本でのロケで生中継だった。 夏という季節。 私がプロ並みと言われる腕前の料理を振るっている時だった。 私の腕に一匹の蚊が止まったのだ。 もちろん私の血はどんどん吸われていった。 それに気付いた男性俳優の方が 「蚊が止まってるよ?叩かないの?」 と尋ねてきた。 私は素直に応えた。 「私の血なんかで生き長らえてくれるんだから叩けるわけないですよ。」 全国、いや、全世界で中継されていたそれはすぐに全世界の知るところとなり…… その夏は蚊を叩くだけで親が子を叱り、職を失い、商品は売れなくなり、学校では虐められ、蚊を殺してしまった罪悪感で自殺をしてしまう者まで世界中で現れた。 その後、それを知った私はまたまた生中継で「それぞれの価値観がありますから。私の言ったことだけに捕らわれないで下さい。」と流した。
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