薄幸の美少女

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-世界の10年後- 「娘の顔は幸せそうに見えます。きっと、いい夢をみているんでしょうね。」 「えぇ、彼女のことですから平和な世界が見えているのでしょう。」 この世の中で最高の良心美少女であった少女の母親とマネージャーがかつての少女が横たわるベッドの横で会話をしていた。 「ホントにここ最近世界は平和になりました。……これも娘のおかげなんでしょうか。」 「えぇ。もちろんですよ。」 崩れ落ちた天井の瓦礫が娘の頭に直撃した。 運良く命は取り留めたが植物状態となっていた。 そのニュースはすぐさま世界に広がった。 その日、世界中は涙した。 母親も父親も、いつもは泣かない人も、頑固一徹な親父も、ヤクザの親分も、一刻の大統領も、極悪非道の犯罪者もみんな泣いた。 天井が崩れた理由はテロだった。 当時日本と外交関係があまり上手くいっていなかった国が旅客機をハイジャックしてスタジオの隣にあった建物に突っ込んだのだ。 そして、世界は気付いた。 戦争とはなんて馬鹿馬鹿しいことなのだろうと………
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