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手早く着替えて、ダイニングへ行く。
既に用意された弁当箱が大小二つ。それと、なぜか自分の体をロープでぐるぐると巻いている最中の妹。
「あ……」
なんでそんなもんが家にあるんだ?
そう思っていると、そそくさとロープを片付けて、何事も無かったように椅子に座る。
「早かったね、てっきり二度寝すると思ってたよ。」
お茶を啜りながら言う。
「今日はいつもの倍くらい飛ばしてるな。何かあるのか?」
不安な事があると気を引こうとしてか、ああいった奇行をする癖がある。知っているのが俺だけなのは不幸中の幸いなのだろう。
「先週の小テストが返って来るの。」
流石に頭を抱える理由だ。
「そん時は良く出来たって、喜んでいたじゃないか。」
辛うじて記憶にあったので言ってみたが、本当に先週の事か自信は無かった。
「そうだけど、後でミスしてたのがわかっちゃったから。気になって、つい……」
「つい。で、メイドになったり、食卓に並ぼうとするな。」
ロープと一緒に「食べて♪」と書かれた貼り紙が見えたので、恐らくそうだろう。
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