思わぬ場所で

10/20
前へ
/298ページ
次へ
「カナ‥あたしそろそろ行くから。」 時計を見てそう言葉を発したはじめさんをみて、俺は寂しさを覚えた。 「もういくの?」 「うん、じゃ悟くん、カナよろしくね。」 「任せてください。」 悟さんはそういって上客のカナさんによっかかられていた。 カナさんは「うふふ~」と笑いながら、俺のほうを見て、こういった。 「ね、響君ってお酒ダメなんでしょ?」 「え? そんな事ないですよ~。今だってほら飲んでるし‥」 「ウーロン茶でしょ?それ。」 気付かれてたのか‥別に弱くはないけれど、飲酒で愛車を壊したくないから飲まないでいたんだ。何とかごまかそうと言葉を捜していると 「ね、悟君。もう店員の頭数そろってるの?」 「‥ん‥まだ足りないけどね、少しはそろってきたよ。」 「じゃさ、このこにはじめを送らせてもらえない?」 俺は悟さんの方を見て目で訴えた。
/298ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1182人が本棚に入れています
本棚に追加