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「わっ!」 「‥あ、すみません。」 相鉄出口付近を出たあたりで、急いでいた俺はのんびりと前を歩いていた女性を引っ掛けてしまったようだ。 女性は俺のまん前で思いっきりつんのめって、無残にもばったりと倒れてしまった。 「いたぁ‥!」 「大丈夫ですか?」 痛がる女性の背中から俺はすまなそうに声をかけると、女性はお尻のあたりに手をやってさすっている。後ろから見た感じ、とてもスリムな人のようだ。 「ちょっと。」 女性は座ったまま振り向くと、分厚い唇をとがらせ大きい猫目で転ばせたおろおろしていた俺に対してギロリとにらんでいる。 「どーしてくれんの。ヒール折れたんだけど!」 それだけぶっきらぼうに言うと、ぶらっとかかとの折れたヒールを俺に突き出している。 顔がコケテッィシュで、めちゃくちゃ俺の好みだった。 二十歳くらいだろうか。自分より年下の感じがしたが、喋る態度は随分と偉そうだった。 一瞬息を呑んだ。 また俺はこういう女王様っぽい女が大好物だ。 「ご免ね、弁償します。あ、買ってこようか?」 何とかお近づきになりたいと思い、俺はそういってみた。 「どっかお店探して連れて行って。」 初めて会った俺に、そういって手を伸ばしてきた。
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