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無理を言って送った先に家があるものと信じ込んでいた俺は、埠頭の倉庫外の一角に連れられて、そこが仕事先だと知って少々がっくりくる。
見るとこんなクラブと倉庫と空き地しかない場所に不似合いの変わった建物だった。
周りに植え込みがしっかりとされていて、打ちっぱなしのコンクリートむき出しだが二階以上にはさまざまな形の窓がはめ込まれている。
壁に書いてある文字を読んでみたら、Studio / flameと表記されていた。
車を脇に止めてハザードを出すと、はじめさんのほうへ向く。
「家なら靴を持っていってもらえると思ったけど‥仕事場じゃ邪魔だよね‥?」
控えめにそう聞いてみると、はじめさんは肩をすくめて笑った。
その笑顔はちょっと卑屈ないままでのような笑いじゃなくて、ちょっと可愛い感じだった。
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