思わぬ場所で

15/20
前へ
/298ページ
次へ
はじめさんはちょっといたずらっぽい目になって笑って、こういった。 「ボクちゃんさ、こんなおばちゃん相手にしないで、もっと活きのいい子にしたら?」 「なにいってんの、さっきみんな言ってたでしょ? 俺はじめさんみたいな人好みなんだよ?」 「そういうの、ちょっと面倒。」 「‥‥あ、‥ええー? ‥ひ、ひどいなぁ‥ハハ。」 俺は告げられた言葉にモロに引きつった。 俺は向こうから無碍にされることがあまりなかったから、正直こういう局面に慣れてない。 「‥ね? こんなキツイロクデナシより、可愛い子を見つけなよ?」 そんなひどい言葉を口にしているようには見えないほど、笑顔は可愛い。 きっと本当に迷惑なのかもしれない。 いや、おそらく本当だろう。 それでも、俺はなぜかこの出会いに執着していた。 酷く曖昧な意気込みに押されて、俺は何か言わなければと思案した。
/298ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1182人が本棚に入れています
本棚に追加