思わぬ場所で

18/20
前へ
/298ページ
次へ
細い指は意外と短く爪にはきれいなラインストーンが並んでいて、親指にはその格好に似合わないような男物の指輪がはまっていた。 俺はそれに気づいて、ちらりとはじめさんの顔をうかがった。 「カッコいい指輪だね。」 「でしょ。お気に入りだから。」 にっこりと微笑んでいて、おそらく手を出してきたのはキスを許すためじゃなくて、これを気づかせるためなんだとわかった。 「じゃあ、靴の次は指輪にしようか?」 「今の所はこれ以外はめる予定はないの。」 言われた台詞でバッサリ斬られた気分だが、でも俺はへこたれない。 というか、喜んでその手をとった。
/298ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1182人が本棚に入れています
本棚に追加