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行き交う人がすべて自分達を一目見る。彼女はいやかもしれない。
「すぐ近くでよかったよね。恥ずかしい?」
気を使って聞いてみる。しかし彼女は
「別に。」
と短く返して、別段恥ずかしがる風も無かった。
見た感じもそうだったが、抱き上げてさらに細い体なのがわかる。
裾にフリルのついた7分のパンツスタイルから覗く足首は、細くて折れそうだ。
「そう。」
やっておいて俺のほうが戸惑うとか、どうなのそこら辺。
一方彼女は自分の靴を見て折れた部分をつけたり離したりしていた。
なんだか、ちょっと変わった感じの子だ。
「ここでいいかな?」
道行く人にじろじろと見られながら、そのまま店に入り、靴の有名な某ブランドへと直行する。
「いらっしゃいませ。」
店員が声をかけてきたが、俺達の異様な感じに声をかけられない店員もいたようだ。
まあ、そりゃそうだろう。
俺が靴を履くときに使う椅子に彼女を下ろすと、やっとベテラン店員らしき人がそばによってきた。
「どうかなさいましたか?」
「彼女に似合う靴を‥」
下さい。そういおうとしたのに、彼女はそれをさえぎり
「この靴に似たものをいくつか見せてください。」
と、彼女はヒールの折れた靴をその店員に押し付けて、そのまま一息ついた。
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