詩付き

6/7
前へ
/93ページ
次へ
†羽蛇 黒かった飛膜を白い翼に変えたいが為 己の飛膜を千切り取ってまで 大地へと足を着けてみた 暖かく柔らかなその大地は 体温の無い僕を温めてくれた 僕の全てを包み込んでくれるこの大地は 己を温めてくれた確かな事実のように 僕が存在した証を残してくれるのだろう それを信じて 僕はこの大地にあまりに小さな軌跡を残そう …後に、どれだけ地を這っても 黒い皮膜の代わりの白い翼は生えてこないのだと知っていても 二度と空へと飛び立てなかったとしても 僕は恨まないだろう 地に残る痕こそ誉れと 胸を張って立てるのだから。
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加