夏が連れてきた運命

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「何か…特別な物でも使ってる?普段食べるかき氷とは違う気がするんだけど」 「へぇ、あんた分かるのかい?」 少し驚きながら青年は嬉しそうに微笑んだ。 「いや…分かるっていうか、何となく…普段食べてるかき氷とは違う気がするってだけで…」 同じ事を2度も繰り返してしまった。 こんなに無愛想な人でもあんな風に微笑んだりするんだ…。 正直、驚いた。 「俺の使ってるこの機械の刃はな、特注の物なんだよ。だからそこらで売ってるかき氷とは削った時の木目細やかさが違うんだ」 そう言って青年は私を見てニヤリと笑った。 何でこの人はこんなにかき氷に自信を持っているのだろう? かき氷屋の商売でも始める為に修行か何かしてるのかしら? 多分…この人かき氷バカだ…もしくはかき氷マニアか。 そんな人に作って貰ったかき氷をしっかりと食べながら私は物思いに耽った。
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