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「あんたも夏なのか?」
「あんたも…って事はあなたも同じ?」
「俺の名前は夏生(なつお)、夏に生きると書いて夏生だ」
「へぇ!凄い偶然だなぁ!」
「全くだ…よし、終わり」
夏生は一つ伸びをすると自転車のカゴに掃除で使っていたタオルを無造作に投げ入れた。
「ねぇ、夏生はこの辺りに住んでる人?」
「ん?…あぁ、ここからそんなには遠くない…ってそんな事聞いてどうするんだよ」
夏生は苦笑いを一つ浮かべた。
「いいじゃない、夏生は今何歳?」
「…なぁ、あんた少し馴々しくないか?」
「へっ?何で?」
私はきょとんとしてしまった。
私、何かしたかしら?
「会ってからそんなに経ってないのに…いきなり呼び捨て、しかも下の名前を…だ」
「…だって下の名前しか分からないんだから下の名前で呼ぶしかないじゃない?」
「いや…それもそうなんだけど」
「でしょ?私は間違ってない」
私は得意気に言ってやった。
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