夏が連れてきた運命

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「ペダルを蹴って進んで行くよ~♪私と相棒~♪」 自作の変な歌を口ずさみながら私は自転車を走らせた。 空は快晴、風も穏やか。これで日差が強くなきゃ最高なんだけど…と無茶な事を思ってみたり。 やがて辿り着いた長い坂道。 誰が呼んだか[極楽道]。この坂道を自転車で上る私にとっては極楽よりも地獄と呼ぶ方がはるかに近い。 「よしッ!行きますか!」 気合を入れてからペダルをこぐ足に力を入れた。 ギィギィと私の愛車、[青空三号]が音を立てて坂を上り出す。 まるで、 「もう無理っす…限界です…」 と泣きながら上っているかのようだ。 「頑張れ、私!頑張れ、相棒!!」 自分で自分の応援もどうかと思うのだがそうでもしないとたとえ坂の途中でも挫けてしまいそうなのだ。 流れて落ちる汗を拭う事もせずに私は一心不乱に自転車を漕ぎ続けた。 と、横を原チャリが風を切りながら悠々と坂を上っていった。 多分…必死に自転車で坂を上ってる私を見てほくそ笑んでるに違いない。 そんな妄想をしている内に私と青空三号は坂の頂点に到達、何とも言えない充実感と何かに勝ったという気分が私を満たした。
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