夏が連れてきた運命

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灯台を見上げる駐輪場に青空三号を止め、私は辺りを見回した。 この場所は私のお気に入り。 灯台の回りの海は別段深くなっていて危険らしく、遊泳禁止区域となっている為、海水浴を楽しみに来た客はあまりここまで足を運んで来る事はない。 そのせいか、シーズン真っ直中の今でも比較的この辺りは静かだ。 背負ったリュックからゴミ袋と軍手を取り出すと私は砂浜へと続く階段を下りた。 私の日課はこの辺りの砂浜に落ちているゴミを拾う事だ。 誰かに評価されたいとか落ちているゴミを見ると無性に拾いたくなる性格な訳じゃない。ただ単に、純粋にこの海が好きだからだ。 …なんて言ったらちょっと大袈裟かしら? とにかく自分の好きな場所が汚れていくのは見るに耐えないと思う気持ちからこうやって毎日少しずつゴミを拾いに来ている。 しかし、まぁ…毎日ゴミを拾いに来ているにも関わらず一向に減っている気配がない。 心無い海水浴客か、もしくは地元の人間か…毎日ゴミが投げ捨てられているのだ。 全く…今度看板でも作って立てといてやろうかしら。 [この場所ゴミを捨てる事禁ず]って!
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