夏が連れてきた運命

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氷の文字に誘われる様に足取り軽く歩き出す。 近付くにつれて気付いたのだがかき氷を売っている屋台かと思いきや自転車にかき氷の機械が乗せてあるいわば特注の自転車らしき物だったのだ。 更に目の前に来て気が付いたのだが困った事に値段が書いていない。 う~ん…まさかこんな所で、しかもかき氷屋でボッタクリなんてないよね? 「あの~…」 店員とおぼしき青年に声をかけてみる。 多分…見た感じ同年代か、一つ上位だろう。何やら熱心にノートに鉛筆を走らせている。何を書いているのかは私の立っている所からは丁度見えない。 私の問い掛けが聞こえたのか一瞬だけ、チラッと私を見た。 だが何も言わずにまた視線をノートに戻し、鉛筆を動かし始めた。 なっ…!まさか今のが聞こえてなかったワケじゃないよね? …っていうか一瞬私を見た時点で私がいる事は分かっているはずなんだけど…。 「あの~、すいません!」 今度はさっきより大きく、確かに聞こえる様に言う。 「かき氷、いくらですか?値段が見当たらないんですけど…」 「なぁ…あんた…」 なんだ喋れるんじゃない!そんなら最初から返事位しなさいっつーの!! 「そこ、邪魔なんだけど?どいてくれないか?」
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