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透明な障壁の向こうから光の矢や氷の刃、その他諸々が飛来してきた。
障壁に当たったそれらは大きな音と衝撃を起こして消えていく。
とめどない攻撃。障壁により守られていない、隣にある木々や地面は光弾や矢、氷の刃によって所々がえぐれ、凍っている。
こりゃ、唯がいなかったら死んでたな……
「そろそろ……限界ッ!」
唯の震える声に反応し、前を見てみると障壁にヒビが入っていた。
「左右の木々の間に飛び込むわよ! 絶対一人で行動したら駄目だからね、以上ッ!!」
素早く言葉を言い放った霧島は有無を言わさない剣幕で話を終えた。
「駄目、もう持たないっ!!」
泣きそうな顔で目の前の障壁にヒビが広がっていく様を見て、声を上げる。
「私は右から行くわ、誰か来てよね……」
珍しく、少し不安そうな声を出した霧島は攻撃の隙を逃さず隣の林に飛び込んだ。
あーっ、もうっ!!
「俺は霧島んとこ行く、お前達ははぐれないで進んでくれよ!」
返事を待たずに霧島の後を追う、普段なら目立つ緑髪だけどこの樹海の中じゃ保護色になっちまうからな。
後ろからの声も聞こえなくなったな……随分歩いたつもりだけど霧島はいっこうに見つからない。
『俊、もしかして迷ったりしちゃった?』
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