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――霧島美鈴――
「はあ、はあっ……」
くっ、しつこいわねっ!!
速度を維持しながら、ちらりと後ろを見る。
尚も追いかけて来る忌ま忌ましい、白髪と黒髪の男が嫌でも視界に入ってきた。
「本当にしつこいっ!」
仕方なしとはいえ、何時までも追いかけて来る二人を一瞥し言葉を吐き捨てる。
自然と蛇神を握る手に力が入るが今は逃げに徹する。
こんな木々がひしめき合っている場所でリーチのある槍では逆に不利になってしまう。
それに二対一じゃ、歩が悪すぎる……、とてもじゃないけど勝ち目はない。
特に白髪の男……伊集院翼は多分だけど私以上の力を持っているはず。
「厄介な男に目をつけられたものね……」
深いため息を吐きながらも走る足は止めない。吹き付ける風が顔を打ち、生い茂る草の葉と同色の髪が風に靡いた。
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