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どれ程走っただろうか、木や地面から露出している木の根、時折後ろから飛んで来る遠距離攻撃を何とか避けながら私は走った。
しかし、距離を離すどころか、徐々にあいつらと私の差を縮められてきている。
「そんな……」
木々の間から見えるのは壁。
鈍い光を放つ鋼鉄製の頑丈そうな壁が天へと伸びている光景だった。
「行き止まり……」
今まで止める事のなかった足をゆっくりと止め立ち止まる。
これ以上逃げるのは無理そうね……
灰色の壁を見つめた後、後ろに振り返る。もう逃げない、そう覚悟を決めたのだ。
そもそもの趣旨も逃げる事ではないしね。
自重気味にに少し笑うと前の木々の間から二人の姿が現れた。
「へぇ、君でも笑うんだね」
「うっさい!」
ムカつく奴に見られたわね……、そう思いすぐに表情を強張らせ伊集院の言葉を叩き潰す。
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