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伊集院が左手を前に突き出すと同時に、何十もの氷刃が私に向かって飛んできた。
「こんな物ッ!!」
心力を使い蛇眼の力を発動させ、迫り来る氷刃を睨みつける。
「ははっ! どうやら生物にしか効果は無いみたいだな!!」
「くっ!」
迫り続ける氷刃は速度を落とす事なく私に向かって真っ直ぐに飛来してきた。
何でマニュアルが無いのよこの馬鹿っ!
全てが手探りの中での戦闘、私はとんでもない判断ミスをしてしまった。
もうこの距離では避ける事は不可能。前の動きでわかった事だけど、動態視力と反射神経が大幅に上昇している今の状態でも回避は無理だわ。
……ふと最近見た映画のワンシーンを思いだす。
私の心武が槍だと知って、戦い方を身につける為にと、手当たり次第主人公の武器が槍の物を見漁ったのだ……
「まさか本当にやることになるなんてね……」
蛇神を前に持っていき、クルクルと回転させる。
映画ではこれで矢を防いでたんだけど……
「……嘗めてるのか? 拍子抜けだよ、死んで詫びな」
冷たい視線を飛ばす伊集院に対し私は無言で無視する。
今はあいつは無視、目の前に集中するのよっ!!
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