深緑の人工樹海

45/68
前へ
/411ページ
次へ
私の集中力に呼応するかの如く、回転速度は上がっていく。 きたっ! 先陣を切るかのように二つの氷刃が私の目の前に迫る。 カカッ! やった!! 蛇神の回転に巻き込まれた氷刃は乾いた音をたて、砕け散る。 「嘗めるなあああっ!!」 その様子を見ていた伊集院がいきなり怒声を放つ、どうやら叩き落とされた事が気にくわなかったらしい…… さっきまでの冷静さはどこに行ったんだか…… 「っ! コイツ……」 数十もの氷刃がほぼ同じタイミングでこちらへ向かって飛んできた。 ちらりと伊集院を見れば薄汚い笑みを浮かべているではないか…… 徐々に痛め付ける作戦から面倒だから一気に潰す作戦に変更ってとこかしら。ほんといい性格してるわね、このボンボンは。 高速で心の中で悪態をついた後、視線を前方から迫り来る氷刃の群れに固定する。 これは……やばいわね。
/411ページ

最初のコメントを投稿しよう!

318人が本棚に入れています
本棚に追加