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ほむら『ソウルジェムが限界まで穢れを溜めた時、魔法少女は魔女へと変わる』
阿部「……」
阿部「よかったら、聞かせてもらえるかい?」
阿部「その幼なじみの手を、ねえ」
さやか「やっぱり、他人に願いを使うっておかしいですか?」
阿部「いや、気持ちはよくわかるさ。相手が男ってだけで、俺たちの恋愛も大差ないんだぜ?」
さやか「言ってることはわかるんですけど、あれを見ちゃうとなかなか……」
阿部「心と体は別なんだぜ?」
阿部「その恭介って男に惚れ込んでるのも、弾かせてやりたいって嬢ちゃんの気持ちもよくわかる」
阿部「ただな、その恭介って男はそれでいいのかい?」
さやか「え?」
阿部「そいつは元通り弾けるようになったとしても、嬢ちゃんのおかげだとも、そこに代償があるのも知らないんだぜ?」
阿部「ただの奇跡だとか、幸運だとか、自分が恵まれてるとだけ思うだろうさ」
阿部「ただ、もしまた弾けなくなったとしたら、そいつはまた同じようになったいまうんじゃないか」
さやか「えっと、どういう意味ですか?」
阿部「才能があるのはいいことさ。ただ、その恭介って奴はそれ一本だけで生きてる」
阿部「人間ってのはもっと色々できる生き物なのさ。そんな一つのものに全てを預けちまうほど薄っぺらでも、弱くもない」
阿部「むしろ、バイオリン以外に触れてみるいい機会なんじゃないのかい?治すなら、それからでも遅くない」
阿部「男は度胸、何でもやってみるのさ。きっといい気持ちだぜ?」
さやか「……」
さやか「そんなふうに考えようとしたこと、なかった」
さやか「だって恭介の演奏は凄くて、本人も、周りも幸せになれたから……」
さやか「だからあたし、CDとかばかり持っていって、音楽の話ばかりして……」
さやか「……」
コンコンコンガチャ
さやか「恭介、入るよ」
上条「ん、いらっしゃい、さやか」
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