卒業おめでとう

79/83
前へ
/533ページ
次へ
永子「昨日ね、その通帳を直也さんに渡すために呼んだのよ」 永子から受け取った通帳を涙を拭いながら見る。いつの間にか、朱音の目から大粒の涙が流れていた。 永子「そしたらね?直接本人に渡してくれって・・・俺の金じゃない。冬樹が朱音に渡そうとした金だからって」 その帰りに、ひき逃げにあったのだった。 永子「あの時、引き止めてれば、こんなことにならなかったのに・・・」 その言葉にピクリと反応する。 朱音「犯人の顔みたの?」 父「いや、見れなかった。だが、裕也が殴ってしまった先生に呼ばれて、約束の場所に行く途中だったんだ・・・」 田村だ・・・アイツ、あたしに復讐するつもりでこんな酷いこと・・・? そうなると・・・さつきか裕也くんが危ない! まだ、犯人は・・・田村は捕まってないんだから! ガタッ💥 勢いよく立ち上がる。 朱音「あたし・・・」 父「あぁ、わたしのことは気にすることない。行きなさい」 ペコッと頭を下げて朱音は病室を飛び出していった。 父「俺の存在が、若き二人の恋を邪魔してたな・・・」 永子「そんなことないですよ」 ――――――――――――――――― 朱音「もしもし!?さつき!?」 さつき『ど、どーしたの!?』 朱音「今どこ?一人?」 走りながら、さつきに電話をする。 さつき『今、拓海と家でお父さんの入院に必要な荷物集めてるけど・・・何かあったの?!』 朱音「今日は、家から出ないで!!鍵をかって誰が来ても開けちゃダメだよ!!」 さつき『え?』 ブチッと一方的に電話を切る。 次に電話するのは・・・裕也だった。 プルルル――――――――――――・・・ 朱音「どーして出ないのよ!!」 何度鳴らしても裕也は電話には、出なかった。
/533ページ

最初のコメントを投稿しよう!

121129人が本棚に入れています
本棚に追加