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永子「昨日ね、その通帳を直也さんに渡すために呼んだのよ」
永子から受け取った通帳を涙を拭いながら見る。いつの間にか、朱音の目から大粒の涙が流れていた。
永子「そしたらね?直接本人に渡してくれって・・・俺の金じゃない。冬樹が朱音に渡そうとした金だからって」
その帰りに、ひき逃げにあったのだった。
永子「あの時、引き止めてれば、こんなことにならなかったのに・・・」
その言葉にピクリと反応する。
朱音「犯人の顔みたの?」
父「いや、見れなかった。だが、裕也が殴ってしまった先生に呼ばれて、約束の場所に行く途中だったんだ・・・」
田村だ・・・アイツ、あたしに復讐するつもりでこんな酷いこと・・・?
そうなると・・・さつきか裕也くんが危ない!
まだ、犯人は・・・田村は捕まってないんだから!
ガタッ💥
勢いよく立ち上がる。
朱音「あたし・・・」
父「あぁ、わたしのことは気にすることない。行きなさい」
ペコッと頭を下げて朱音は病室を飛び出していった。
父「俺の存在が、若き二人の恋を邪魔してたな・・・」
永子「そんなことないですよ」
―――――――――――――――――
朱音「もしもし!?さつき!?」
さつき『ど、どーしたの!?』
朱音「今どこ?一人?」
走りながら、さつきに電話をする。
さつき『今、拓海と家でお父さんの入院に必要な荷物集めてるけど・・・何かあったの?!』
朱音「今日は、家から出ないで!!鍵をかって誰が来ても開けちゃダメだよ!!」
さつき『え?』
ブチッと一方的に電話を切る。
次に電話するのは・・・裕也だった。
プルルル――――――――――――・・・
朱音「どーして出ないのよ!!」
何度鳴らしても裕也は電話には、出なかった。
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