1人が本棚に入れています
本棚に追加
そのまま……
そっ、そのまま……
ガンサイトには、1隻の燃料を積んだ輸送船が捉えられている。
真夜中の闇に溶け込むような深紅の瞳が、緊張からか瞬きを忘れていた。
『無理はするな。ヤバイと思ったら逃げろよ』
味方からの通信も、耳に入ってはいなかった。
少女の額を、つうっと汗が伝う。
少女の任務は、あの輸送船にナパーム弾を直撃させ、爆発で港の機能を麻痺させること。
そのためには港の燃料タンクにも引火させる必要があった。
しかし、敵の防衛網をギリギリて突破してきた彼女の部隊には、これ以上近づく時間も、ムダ弾を撃つ余裕も無かった。
最初のコメントを投稿しよう!