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「お言葉ですが…恋歌が来てから俺、土方さんに命令された任務で失敗したことありましたっけ?」
烝の言葉に土方さんは苦笑いしながら「ねぇな…」と言った。
即答するところ、全く心当たりはないのだろう。
「なら阿呆なこと言わんといて貰えませんか」
烝の言葉に土方さんは「可愛いげのねぇ奴だな」と言った後、「…悪かったな」と言った。
…前言撤回、ということだろうか。
そうはわかっていても、私の心にかかった靄は消えることはなかった…。
私の心情など知ったことないと言わんばかりに話しは進む。
「…話を戻すが…山南さんが居ちゃ話が進まねぇ、だから席を外させた。それだけの事だ」
「それだけの事って…!」
たった今自分の心情を無視して話が進んでいくと思ったばかりだったせいか妙に感情的になってしまう。
「仕方ねぇだろ…隊士が増えたんだ…広くて六畳の一部屋に大の男が10人近くで雑魚寝してんだぞ?それにいつまでも此処を借りてる訳には行かねぇんだよ…!」
土方さんは頭を掻きむしり苛立ちを抑えているのだろう。
その様子から土方さんだって本望では無いことはわかる。
「─土方さん、無理は良くないわ
…確かにあんたは自分から憎まれ役になって"鬼"だと謳われとる…
だからそれをフォローする山南さんは"仏"…鬼と仏がおらん限りこの"新選組"っちゅー組織は成立せん…そこん所、忘れん方がええと思うで…?」
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