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「…寒ないか?」
烝の身体にすっぽりと収まる私は「うん…」と答えて肌を寄せた。
明里さんに頼まれてから数日、私達は毎日屋根の上から山南さんを見張る事が日課になっていた。
ただでさえ寒いのに屋根の上なんて凍りそうだ。
だからお互い肌を寄せあって温もりを分かち合う。
「…暗いね」
今日は曇っているせいか月が顔を出さない。
私は烝と指を絡ませて遊びながらポツリと言った。
烝は私の言葉を聞いて顔をあげると「…せやな」と言って空いている片方の手で私の髪を撫でた。
「…ごめんね、今日も仕事だったのに……」
私は絡めた指を一度離し、烝の手をなぞるように優しく撫でる
烝は最近あまり寝ていない。
理由は朝から晩まで監察方の仕事をバンバンこなす烝に休む暇がないからだ。
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