一杯目「T研の戦い」

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新井の一言に、部長は溜め息をつきながら口を開く。 「あいつが喧嘩を売ってきたんだ。」 「……え? あの水神さんが?」 新井には想像出来なかった。 水神はそんなことはするような人物ではないのだ。 「事実は事実だ。」 「ん~、信じられませんが部長は嘘ついた事無いですし……。 実際そうなんでしょうね。」 だが新井にとって部長は信用に価する人であるのも事実だった。 彼が嘘をつくなど、また想像の出来ない事なのだ。 「でもどうして水神さんが部長なんかに喧嘩を?」 「何かとは何だ、狼青年。」 「狼青年って何ですか!? 嘘なんてつきませんよ僕!」 「いや、性的な意味で。」 「死にさらせええぇぇええ!!」 新井のドロップキックは部長の首にジャストミートした。 「……全くこの人は。」 腰に手を当てながらため息をつく。 その時、不意に家庭科室の扉が開かれた。 「お兄ちゃん、来たよ……ってお兄ちゃん!?」 入って来た小柄な少女は恋だ。
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