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新井の一言に、部長は溜め息をつきながら口を開く。
「あいつが喧嘩を売ってきたんだ。」
「……え? あの水神さんが?」
新井には想像出来なかった。
水神はそんなことはするような人物ではないのだ。
「事実は事実だ。」
「ん~、信じられませんが部長は嘘ついた事無いですし……。
実際そうなんでしょうね。」
だが新井にとって部長は信用に価する人であるのも事実だった。
彼が嘘をつくなど、また想像の出来ない事なのだ。
「でもどうして水神さんが部長なんかに喧嘩を?」
「何かとは何だ、狼青年。」
「狼青年って何ですか!?
嘘なんてつきませんよ僕!」
「いや、性的な意味で。」
「死にさらせええぇぇええ!!」
新井のドロップキックは部長の首にジャストミートした。
「……全くこの人は。」
腰に手を当てながらため息をつく。
その時、不意に家庭科室の扉が開かれた。
「お兄ちゃん、来たよ……ってお兄ちゃん!?」
入って来た小柄な少女は恋だ。
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