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桃色のショートヘアを揺らしながら部長の元へ近づき、その淡い赤色の瞳で彼を見つめる。
「お兄ちゃん、まだ死んじゃ嫌だよぅ……!」
「恋……お前は強く生きろ。」
恋はしゃがみ込み、部長の上半身を抱き抱える。
「そんな……!
まるで死亡フラグなんて立てなきゃ良かった……って裏では後悔している脇役みたいな事言わないでよ!!」
「脇役じゃない、サブキャラだ。」
「あ、ごめん。
まるで死亡フラグなんて立てなきゃ良かった……って後悔するサブキャラみたいな事言わないでよ!!」
「すまない、明日の決闘は……任せた……ぞ。
ガクリ。」
部長はそのまま力が抜けたようにうなだれた。
それを恋は必死に揺さ振る。
だが部長が反応することは……ない。
「……そんな、嘘だよねお兄ちゃん……!」
「カーくんは恋ちゃんに託したんだよ。」
「さ、佐奈さん!?」
恋の後ろに立っていたのはT研副部長の、羽田 佐奈その人だった。
「託したって……一体どういう……。」
「カーくんは、恋ちゃんが勝つって信じてお亡くなりになったんだよ……。」
「……そんな。」
恋の瞳は悲しみと絶望に飲み込まれていた。
「お兄ちゃん……お兄ちゃああああああああああああん!!!」
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