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「新井君。
今回のアイスティーはどうだい?」
「う~ん、香りは良くなったんですけど味は落ちましたね~。」
「ふむ、今思った所だ。」
ある晴れた日の春の学校。
その放課後の家庭科室に彼らはいた。
一人は黒板の前にある教師用のパイプ椅子に腰掛けている。
「煎れ方は良かったと思う。
ただやはりインスタントには限界が……。
いや駄目だ、ここで諦めては。」
そこで、一人ブツブツと呟きながらノートに熱心に書き込んでいるのが、T研の部長だ。
白く光る眼鏡を中指で押し上げる仕草が彼の癖。
「一回お湯を少し煎れて粉を固めてみては?」
もう一人、生徒用の机に座るのが『新井 祐輔(アライ ユウスケ)』
彼もT研の一人。
短い天然パーマの髪は彼のトレードマークだ。
因みに身長は180オーバーで細身。
中々に面白い見た目をしている。
「ほお、それはやってなかったな。
早速試してみよう。」
部長はすぐに立ち上がり、やかんにポットからカルキ抜きした水を入れる。
そしてカセットコンロでお湯を沸かし始めた。
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