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「……もうそろそろか。」
部長がそう呟くと、やかんから白い湯気と甲高い音を吐き出し始めた。
すると手慣れた手つきで、用意してあったマグカップの中に粉末の紅茶を入れる。
「ちょっとお湯を入れるんだったな。」
やかんを持ち、沸騰していた熱々のお湯をカップにほんの少しだけ注ぐ。
それから部長が持参してきた銀製のティースプーンで掻き回し始めた。
「そういえば新井君、副部長はどうしたんだね?」
ふと思い出したように、部長は尋ねた。
新井はつまらなそうな顔をしながら
「副部長なら今、部長をぶち殺すために学校の屋上でかめ〇め波を打つ練習してます。」
「……そうか。」
会話はそこで途切れた。
部長は粉末が良い感じにドロドロになったのを確認し、またお湯を注ぐ。
すると今度は紅茶の香りが家庭科室を満たしていく。
「テンション上がってきた。」
「部長、あまり声の抑揚無いですね。」
「なに、いつもの事さ。」
そして冷凍庫から取り出したロックアイスをカップに入れて、アイスティーが完成した。
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