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ある日、いや…そんな一言では済ませたくない、そんなある日… 今日は朝から快晴。 薄紅色の桜が強い風にもまれ、こざっぱりと若葉のみの姿になり、その柔らかい葉をさらに優しく陽が包む。 暖かさに自然と足取りが軽くなり、ワクワクした気持ちに拍車をかける。 と、何かおかしいことに気がついた。 いつもの場所は…そうであって、そうではなかったのだ。 いつもの場所には、少し陽に焼けた、温もりのある木製のベンチがあって…寄り添うように名前の知らない樹が佇んでいる。 今日もそれは変わらない。 けれど、全く違う場所のように見えたのは…あの人がいなかったから。 軽やかだった足や、身体は、たちまちずっしりと重くなり、息まで潰れそうだ。 自分の浅い呼吸が耳障りに聞こえてくる。 ドクドクと心臓までがうるさく鳴り出す。
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