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あの人は?
不安と疑問と…色々な気持ちが込み上げて、それでもどうしようもなく、ゆるゆるとベンチに座った。
約束はしていないけれど、ここに来ればあの人はいつも待っててくれた。
なのにいない。
ということは…
目の奥が熱くなり、ノドがヒュッと絞まる。
痛くて苦しくて、悲しくて。
ここから逃げ出したいけれど、ここから動きたくなくて。
チリリと、そばを通る自転車から無機質な視線を受け、私はとうとう手放しで泣き出してしまった。
涙は出ずに、軋んだ声が漏れ出るばかり。
名前も知らないあの人が、大好きなのだ、私は。
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