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事の発端は三日前、夜中に響いた一本の電話からだった。
「……?」
とある建物の一室、少年が暮らしていた部屋に鳴り響く携帯の着信音を聞き、携帯を手に取った少年はディスプレイに表示された名前を確認して首を傾げた。
疑問を抱きながらも携帯の通話ボタンを押し、耳に当て口を開く。
「おっさん?わざわざ電話してきてどうしたんだ?」
電話の相手は少年の育ての親、そして少年が居る建物に居る筈の人物。
少年が首を傾げたのは、同じ建物に居るのにどうしてわざわざ電話なんてしてきたのか、電話なんてせずに直接呼び出せば良いと思ったからだ、何せ直ぐ真下に居る筈だろうからだ。
『よぉ、龍児、何ちょっと言い忘れていたことがあってな、ただ今は監理局に居てそっちに戻るのが明日になりそうだからこうして電話したんだ。』
監理局がなんなのか、と言う説明は今は置いておく、少年―龍児は理由を聞いて納得した様に頷いた。
「電話してきた理由は分かったけど、どうかしたのか?今何か良いバイトが無いか探している最中だから、あまり長いのは勘弁して欲しいんだけど。」
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