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「いや行けるんなら行きたいけど……急にどうしたんだ?何か仕事絡み?」
何故急にそんな話を出してきたのか、龍児が言うように仕事絡みの入学なのか……
その予想は、あっさり裏切られる。
『そんなんじゃない、螺旋からの前からの頼みなだけだ、せめて高校ぐらいちゃんと通わせてやって来れとな。』
「…………親父の?」
螺旋と言うのは龍児の実の父親、またも訳ありで龍児を電話相手に預け、現在絶賛行方不明中だ。
ただ音信不通と言う訳じゃなく、時折電話や手紙を貰って生きている事は確実だが、ここ十年まともに顔を会わしちゃいない。
そんな父親の頼みらしい、龍児は口を開く。
「生活費とか送ってもらってたりしてるけど、急に高校入れなんてどうしたんだ親父の奴は……」
『あの馬鹿の考えなんざ考えるだけ無駄と言うものだ、何か考えがあるのは間違い無いだろうがな。』
話を一旦切り、電話相手は訊ねてくる、どうするつもりだと。
高校に行ける、多少不安が残るがこんなチャンスを逃す理由は龍児には無い。
故に、答えは直ぐに出た。
「行くよ、せっかく行けるんだ、棒に振るつもりは無いよ。」
『そうか、なら色々と書類を送らなきゃならんからお前さんが行く学校の資料は制服も一緒に明後日送る、その間に荷物を纏めておけよ?』
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