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洗濯したばかりのお兄ちゃんの衣服をタンスに仕舞う。
当初の用事は済んだのだが、そのまま机へと向かった。
「お兄ちゃんってば、また散らかして~…ん?」
乱雑な机の上を簡単に整理しようとすると、1冊のパンフレットが目に止まった。
『マイロイドの御案内』と表紙には書かれている。
中身は、マスター向けの新規マイロイドに関する総合案内。
「わたしの時のかな?」
しかし、そんな考えは隅に記載されていた文字を見た瞬間に打ち消された。
『201○年○○月』
手にしているパンフレットは最新のものだった。当然、わたしがこの家に来てから後に発行されたものだ。
さらに、一緒に置いてあった1枚の紙切れ──パンフレットに同封されていた礼状だろう──から、このパンフレットはお兄ちゃんが取り寄せた物だという事が分かった。
「お兄ちゃんは1人しかマイロイドを育てられないはずなのに……」
以前、複数のマイロイドを育成しているマスターもいると知った時に、『妹が欲しい』とおねだりしてみたら、お兄ちゃん本人からそう聞かされた。
1人のマイロイドしか育成できないお兄ちゃんの所に、新しいマイロイドがやって来たら──
「わたしは?……わたしはどうなっちゃうの?」
さっき見たテレビ番組の影響か、思考がどんどんネガティブな方向へと向かってしまう。
「わたし……」
──捨てられちゃうの?
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