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……う、うー……ん。
なんか……香ばしいいい匂いが……する。
これは、パンが焼ける香かしら?
あれ?
でも私は今ベッドにいるのだから、香ばしい匂いがする理由が見えない。
誰か……誰かが、焼いている?
誰が?
…………。
「まさか泥棒!?」
毛布やら布団やらを蹴り飛ばして跳ね起きた。
そして近くにあったペットボトルを手にすると、それを武器にして立ち上がり、そろりそろりと慎重にドアに向かう。
暴れる心臓を必死に抑えつつ音をたてないようにとドアをゆっくり開け……。
「あ! おはよう」
爽やかな笑顔を浮かべて挨拶をする男と目が合った。
そして私は静かにドアを閉める。
…………。
え? 男!?
私は男なんて連れ込まないし連れ込んだこともないというのに、どうして男がリビングにいるの!?
しかも顔は素晴らしく整った男じゃないの!?
あんな男見覚え……
「ああー!!」
お、思い出した。
私は昨日バイトの帰りに男子高生を拾って、ここに住んでいい許可を与えたんだった!!
そしてその男子高生は家事全般をするという条件を出してきて……。
あれは、夢じゃなかったんだ。
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