〇〇、始めました。

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勢い良く立ち上がると、ベランダに一直線。 カーテンの開けられた窓の取っ手に手をやると一気に開き、清々しい空の下には、虎次郎が干したと思われる洗濯物が並んでいる。 並んでいるのだけど……。 「何これ」 初めて見る干され方をしている私の衣類達。 ハンガーにはブラとパンツが掛けられ、服は洗濯ばさみ一個で挟まれぶら下がり、しかも皺は伸ばされていないようで全てしわくちゃ。 触ればごわごわしていて、柔軟剤が使われた様子無し。 わなわなと、小刻みに体が震えた。 「虎次郎っ!!」 「は、はい!!」 「今日一日キミに家事を叩き込む! ここにいたけりゃ、一日で覚えなさい!!」 「え、あ、はい!!」 家事全般引き受けるだぁ? なのに実は家事一切出来ない虎次郎に、私橘勇直々に家事のなんたるかを伝授してあげるわ! 今日は土曜日とあって、昼間は仕事ないことだし、虎次郎も学校休みだろうし丁度いい。 「その前にさ、勇ちゃん服着ようよ」 「うっさい! 誰かに見られて恥ずかしいような貧相な体はしていないわ!」 「や……。そういう問題じゃなくて……。ていうか勇ちゃんは恥じらいを持った方がいいんじゃない?」 「私は私の体に自信があるの。家ではそれをさらけ出すのが私スタイル! 口動かす前に手動かす!」 「はい」 下着姿をとやかく言う前に、洗濯物を一から覚えなさいっての。
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