5456人が本棚に入れています
本棚に追加
/690ページ
勢い良く立ち上がると、ベランダに一直線。
カーテンの開けられた窓の取っ手に手をやると一気に開き、清々しい空の下には、虎次郎が干したと思われる洗濯物が並んでいる。
並んでいるのだけど……。
「何これ」
初めて見る干され方をしている私の衣類達。
ハンガーにはブラとパンツが掛けられ、服は洗濯ばさみ一個で挟まれぶら下がり、しかも皺は伸ばされていないようで全てしわくちゃ。
触ればごわごわしていて、柔軟剤が使われた様子無し。
わなわなと、小刻みに体が震えた。
「虎次郎っ!!」
「は、はい!!」
「今日一日キミに家事を叩き込む! ここにいたけりゃ、一日で覚えなさい!!」
「え、あ、はい!!」
家事全般引き受けるだぁ?
なのに実は家事一切出来ない虎次郎に、私橘勇直々に家事のなんたるかを伝授してあげるわ!
今日は土曜日とあって、昼間は仕事ないことだし、虎次郎も学校休みだろうし丁度いい。
「その前にさ、勇ちゃん服着ようよ」
「うっさい! 誰かに見られて恥ずかしいような貧相な体はしていないわ!」
「や……。そういう問題じゃなくて……。ていうか勇ちゃんは恥じらいを持った方がいいんじゃない?」
「私は私の体に自信があるの。家ではそれをさらけ出すのが私スタイル! 口動かす前に手動かす!」
「はい」
下着姿をとやかく言う前に、洗濯物を一から覚えなさいっての。
最初のコメントを投稿しよう!