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「キミの分だけでいいって、何度言わせるのかなぁ? いい加減にしないのその面をめっこめこにするわよ?」
「え……あ……す、すいません」
分かればいいのよ。
虎次郎の胸ぐらをがっつり掴んで引き寄せて、身長の高い虎次郎を下から睨み上げ、ドスの利いた声で言えば、虎次郎は困惑しながら謝った。
それに満足し虎次郎を突き放せば……。
「ママー。綺麗なお姉さんだけどヤーさんだ」
「見たら駄目よ!! さらわれるわよ!!」
少し離れた場所にいる一組みの親子に目撃されていて、口端が引きつった。
綺麗は当たり前だけどヤーさんじゃないしさらわないわよ。
失礼ね。
ふんっと鼻を鳴らして、怒られて反省したのか、背を丸くし棚に並んだコップを物色している虎次郎の側に向かった。
……て、見てるのまたペアのやつじゃないの!!
こいつ……懲りないわね。
「虎次郎。いい加減にしないと面だけじゃなく、男の大事な玉も潰すわよ」
「ちょっ!? 女の人がそんな破廉恥な言葉言ったら駄目でしょ!? 勇ちゃんに不釣り合いだし!!」
「玉があるんだから玉と言って何が悪い!! それにね、私が言えば破廉恥も華麗になるのよ!!」
「そういう問題?」
私の玉発言に焦る虎次郎に、こくんと縦に頷き見せた。
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