〇〇、始めました。

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今夜も“凛子”に行くから、だなんて私に言って店を出るお客さんに笑顔で手を振って、空けてくれた席に座る。 そしたらすかさず 「キミ一人?」 と、鼻の下を伸ばしに伸ばし、作業着を着た若い男が数人寄ってきた。 こんなのは日常茶飯事だから軽くあしらおうとすれば、私と彼等の間に誰かが割り込んできて。 私の隣の席に座る。 「お姉さんは俺の女だから近寄らないでくれる?」 不敵な笑みを男達に向けるのは…… 虎次郎。 私があしらう前に追い払ってくれるつもりで言ったのかもしれないけど、そんなの頼んだ覚えはないし、何より……。 「いつ私がキミの女になったのよ?」 「いたぁっ!?」 腹立つ!! 抉るような容赦ないエルボーを虎次郎の横腹にめり込ませ、虎次郎を悶絶させてあげたわ。 そんな虎次郎を鼻で笑うとその表情のままで、虎次郎を挟んで向こう側にいる男達に目を向けた。 「こいつと同じ痛みを味わいたくないなら、早く席に戻りなさいよ」 「は、はいっ!!」 私のずば抜けた容姿目当てに寄ってくる男になんか興味は微塵もないわ。 若干顔を青ざめさせた男達がしずしずと席に戻るのを横目で確認すると、笑いを堪えている大将に、私がいつも注文するやつを二つ頼んだ。
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