「山」

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「あれ? そんな大きなリュックを背負って、エベレストでも登山するのかな?」 「最初に出る山の名前がエベレストですか」 「で? 実際はどの山に行くの?」 「あ、はい。基本過ぎてちょっと恥ずかしいんですが、彼女と一緒に富士山を登ろうかと」 「まあ、妥当だね。妥当過ぎて、さすがはボキャブラリーの少ない孫君って感じかな」 「そ、そんなに僕ってボキャブラリー無いですか?」 「うん。無い」 「そんな、簡単な」 「良いじゃない? 別にさ。だって、それが孫君なんだし、逆に孫君がユキなみにボキャブラリー豊富だったら、私疲れちゃうよ」 「自分ありきなんですね……」 「ほら! そんな事はいいから。早く出ないと、彼女さんが待ちぼうけになっちゃうよ?」 「あ、はい。そうですね。それじゃあ行ってきます」 「お土産よろしくね~……と、良いなぁ~。私もユキと、どっか出かけたいな……」 「じゃあ明日にでも行くとしよう」 「ユキ!? え? 今の聞いてた?」 「そんな事はどうでもいい。明日行くのか。行かないのか。その問いだけに答えなさい」 「い、行きます! 絶対に生きたい!!」 「はいよ。て、事だから、今日は早く寝ろよ?」 「うん!」
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