65人が本棚に入れています
本棚に追加
・・・
・・・
「ほら。ちゃんと掴んどけよ。…にしてもコイツ、すっげー力だな。」
あれから――…
一瞬で土手を駆け下り、バウの元へ駆け寄ったその人は
「もうちょっとで、川に入りそうだったぞー。」
そんな事を言いながら、泥だらけになったジャージの裾を捲り上げた。
何が起きたのか理解し切れず、ボーっとする私の目の前で「お~い」なんて言いながら、手をヒラヒラさせたあなた。
『…あっ!!ごめんなさい!!』
「いや~。んと……バウ?」
バウを指差して、少し首を傾げたその人は、私の顔を覗き込んだ。
『う、うん。』
「無事で良かったな。お前こんなちっこい女の子を引っ張り回すなよ~。」
そう言って、にっこり笑って、バウの頭をわしわし撫でまわす。
.
最初のコメントを投稿しよう!