65人が本棚に入れています
本棚に追加
少し埃を含む乾いた空気に、大きな歓声と、アナウンサーの声が響き渡る。
“中盤からドリブルで一気に駆け上がる!!速い!!速い!!”
“一人、二人かわして……そのままゴール前までボールを運ぶ!!”
一段と大きくなるその歓声に、無意識に…胸の前で握りしめた手に、力がこもる。
“――宮崎!!宮崎!!自分で行ったーーーー!!!”
どくん…
どくん……
『――…っ』
彼の蹴ったボールは、力強く、美しい軌道を描き
ゴールネットを揺らした。
そして拳を、高く青い空に突き上げ、目を細めながら、その手を開く。
――まるで、太陽を掴むように。
.
最初のコメントを投稿しよう!