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「ハァ…ハァ…」
息を切らし白き動物の下に戻って来た左近だが…
「ゔぅ~」
白き者は左近を威嚇する
「ひっ」
手当てをしに来たのはいいが威嚇におびえ後一歩が踏み出せない
「近づけたんだ、後少しだけ勇気を出すんだ俺」
自分にそう言い聞かしジリジリと白き者に近づく
「ゔぅ~ゔゔ~」
威嚇で釣り上がる口から鋭い牙が覗いている
「そんなに唸らないでくれ、俺はお前の足の傷を治しに来たんだ」
しかし、左近が怪我の具合を調べようと触ろうとした時
(ブン)
白き者の腕が左近に当たり体が宙を舞った
「ぐっ」
白き者の一撃で木に激しく打ち付けられ左近は気を失う
「ふん」
鼻で笑う様なそぶりで頭を上に向ける白き者、その目は左近から夜空に浮かぶ月へと視線を変えた、まるで
『もうわかったろ、私は助けなどいらぬ、ましてや私を怪物や妖奇士(あやかし)と言う人間なんぞに誰が助けてもらうものか、こいつも他の者と同じく目が覚めれば一目散に逃げて行くだろう』
と言っているかのように
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